九州の旅①日目・北海道→福岡→熊本

15年ぶり(ぐらい)の九州

コロナがそれほど騒がれなくなったし、全国旅行支援もスタートするので、僕ら夫婦にも久しぶりに旅行熱がわいてきた。そして紆余曲折の末、飛行機で九州へ行くことになった。奥さんは仕事で忙しいので、僕が計画を立てる。九州は15年ほど前に、高校の後輩男子に付き合ってもらい、レンタカーで福岡、熊本の炭坑や大分の由布院を回ったことがある。その時は、泊めてもらった阿蘇のペンションの息子さんが僕と同い年で意気投合して、阿蘇の無料露天風呂へ一緒に行った。ところが先客は立派な彫り物の入った親分以下、目つきの鋭い若い男や謎の爺さんや若い女性ら5人ほどのヤクザ御一行だった。僕らが緊張しながら湯船に入ると、親分は「どこから来た」と言う。北海道から来たことを知ると、意外にも親切に観光スポットを教えてくれ、「熊本に来たのなら、馬肉は食べた方がいい」とアドバイスをしてくれた。いまだ食べたことがないので、今回は馬肉も食べたい。せっかく九州へ行くのでと、前回行けなかった水俣とか高千穂とか長崎の軍艦島クルーズとか福岡のガンダムとか、あれもこれも行きたい。詰め込み気味にえいやと4泊5日の旅行日程を作ると、ほとんどの県を網羅する弾丸ツアーとなってしまった。

1・福岡県

福岡空港は福岡市内中心部の博多駅まで地下鉄で2駅と近い。札幌だと丘珠空港ぐらいの距離だろうか。近いと便利なのは言うまでもない。

眼下にタモリの故郷、福岡市

飛行機の着陸が30分ほど遅れ、焦りながらレンタカーを借りる。初日は熊本市内のホテルを取った。福岡から熊本へは、高速で100キロちょい。時間にして1時間半ほどだが、スタートが午後1時なので、途中いろいろ寄ろうとするとなかなか時間がない。九州は北海道と同じ、炭坑が盛んだった地域なので、まずは約15年前に回った炭坑もおさらいしたいと思った。マツダ2と書かれたオートマの銀色のデミオで一路隣の志免町(しめまち)の竪坑へ向かう。

旧志免鉱業所竪坑櫓。鉄筋コンクリート製で高さ約47メートル。

続いてお約束の太宰府市太宰府天満宮。他力本願の参拝客でごった返し、たいそう景気が良さそうだ。ついでに僕も10円払って「頭が良くなりますように」と拝む。特別受験合格祈願と書かれたコーナーでは、それぞれ8千円、1万5千円、2万円のコースがあって、絵馬も(ご利益も?)その順に大きくなる。「地獄の沙汰も金次第」という言葉が頭をよぎった。

参拝客でごった返す太宰府天満宮

さらに熊本との県境にある大牟田市の宮原坑へ。隣接する熊本県荒尾市にまたがって隆盛を極めたのが三池炭鉱。15年前はじっくり見学できたが、きょうは月曜日で休業のため外観のみおがむ。それにしても福岡と熊本を結ぶ高速は片側3車線もあった。北海道にはない。九州は福岡、北九州、熊本と政令指定都市が3つもあり、札幌しかない北海道とは経済規模もそれに伴うインフラも全然違うと実感する。

熊本との県境にある宮原坑。明治期から昭和期にかけて三井炭鉱の主力坑口

2・熊本県

宮原坑から2キロも離れていない、熊本県荒尾市万田坑第2竪坑へ。1997年閉山と割と最近まで現役だったことに驚くほどのレトロ感。かの村上春樹も訪れエッセーを書いている。

万田坑第2竪坑。抗口のみ残る第1竪坑のやぐらは、芦別市へ移設

九州の10月24日の日没時間は午後5時半。北海道より1時間も遅いが、午後4時半にもなると完全に西日で、日中の観光はここでおしまい。熊本市内のお宿へ移動する。

大都会熊本市くまモンだらけの熊本市。初日の宿はここ

この写真を撮ろうとして階段を踏み外し、小学生のように膝を擦りむく

熊本市内に入ったら完全に夜だった。高速の下り口から熊本城そばのホテルへ向かうが、交通量が多く、流れも早く、軽くお上りさん気分を味わう。勝手に田舎だと誤解していたがとんでもない。田舎者は僕の方です。かの村上春樹が朗読会を開いたという書店の閉店15分前に奥さんを落っことし、近くにあるはずのホテルへチェックインしようとしたが、迷ってしまって結局奥さんを待つことに。その後、ホテルと直結するサクラマチクマモトで念願の馬肉と対面するも、写真を撮り忘れる。今撮らずにいつ撮るのだろう。しかも、なかなか美味しかったという月並みな感想で申し訳ない。あす2日目も熊本城から始まり、鹿児島県で宿泊するという弾丸スケジュールが続く。