九州旅行③日目(弐)熊本県水俣市

四大公害病

小学校の社会科で習う、四大公害病水俣病阿賀野川水銀中毒(新潟水俣病)、四日市ぜんそくイタイイタイ病の4つは、誰もが知っている。このほかに公害認定されていない北九州市カネミ油症事件などもあるが、共通点は様々な理由で、企業の経済活動の前に個人の健康が軽視された、ということだろう。

水俣市水俣病資料館

水俣市には不知火海に面して芝生の広場やバラ園、テニスコートなどが並ぶ広大な公園、エコパーク水俣があり、その一角に水俣病資料館がある。エコパークは、未処理の有機水銀メチル水銀)を含んだ汚泥を埋め立てて造成しているため、地震液状化現象が起きると、有機水銀が地表に吹き出す恐れがあるという。水俣病発生の構造的な欠陥は今もなお続いている。

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大量の有機水銀が地下に眠るエコパーク水俣

水俣病のメカニズム

水俣病メチル水銀化合物に汚染された水俣湾の魚介類を長期間、大量に摂取したことで発症した中毒性中枢神経系疾患をいう。新日本窒素(チッソ水俣工場が、製造過程で発生したメチル水銀化合物を未処理のまま海に放出した結果、魚介類が汚染され、それを食べた近くの住民が発病した。

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「私たちは、今の生活を続けていくことができるでしょうか?」といわれても・・・

資料館の説明パネルで一際目を引いた表現が、上の写真。水俣チッソ企業城下町で、住民の生活の糧でもあった。それはよく分かる。チッソが「戦争に役立つ」、「私たちの暮らしを支える多くの商品の原料を作っています」というのもよく分かる。でも「チッソの技術や原料から作られるものをなくしたら、私たちは、今の生活を続けていくことができるでしょうか?」との問いには猛烈な違和感があった。私たちが便利な生活を続けるためには、健康被害は仕方ないということだろうか。

未処理の有機水銀を排出した当時の百間(ひゃっけん)排水口

現在の百間排水口

 

肥薩おれんじ鉄道水俣駅からチッソ水俣工場正門を望む

なんとなく違和感を抱いたまま水俣を後にし、熊本市内へ戻る。まだ色々と県内で寄りたいところはあったが、フェリーの時間が迫っていたので、断念する。

土産物探しのため、一瞬戻ったサクラマチクマモト

熊本市内中心部から西区新港のフェリーターミナルは結構距離があるので、ギリギリの日程の方はお気をつけください、と何度か書いた気がするが僕ぐらいかもしれない。フェリーは出港後およそ30分で、長崎県島原港へ着くという。予約もバッチリで、後は乗船のみ。

熊本からフェリーでいよいよ長崎上陸