九州の旅③日目(参)・長崎

5・長崎県

午後4時40分に熊本港を出向したオーシャンアローは、30分後の午後5時10分に長崎県島原港に到着した。島原は歴史的には隠れキリシタンの地として有名だが、1990年に噴火した雲仙岳の被災地として記憶に新しい。港から車で15分ほどの「定点」と呼ばれる撮影ポイントでは、1991年6月3日午後4時8分に火砕流が発生し、付近にいた新聞やテレビの記者やカメラマン、タクシー運転手ら15人が亡くなった。

日没間近の島原港雲仙岳。最も高いのが1990年に噴火した平成新山(1483m)

www.udmh.or.jp

日没まで間もないため、心の中で手を合わせながらきょうの宿泊地、長崎市へ向かう。

島原市から長崎市までは、雲仙グリーンロードという有料道路と国道251号を経由して63キロの行程だが、帰宅ラッシュの渋滞に巻き込まれ、やっとの思いで午後7時ごろグローバルビュー長崎に到着した。駐車場の入り口がわからず、ホテル正面の車止めにレンタカーを停めチェックイン、晩飯と稲佐山の夜景散策に繰り出す。夜景の有名な稲佐山頂展望台には、評判の良いフレンチレストランITADAKIがある。現金決済不可、アプリで事前予約必要とあったので、事前にスマホにアプリをインストールした。予約に余裕はあったが、時間枠が午後7時半までしかなく、結局予約を断念。それ以外リサーチしていなかったので、晩飯探しに難儀する。繁華街がホテルからどの程度の距離なのか分からないわ、夜で町並みはよく見えないわ、車ではすぐに通り過ぎてしまうわで、やっとのことで車を停めて居酒屋に入った。

今さらながら長崎県の旅行支援クーポン。宿泊者1人につき3000円分配布

居酒屋で会計する際、店員さんにこれから稲佐山に夜景を見に行くと告げると、反対側の夜景がおすすめと言われた。鍋冠山は魅力的だったが、迷うのも嫌なのでオーソドックスに稲佐山へ向かう。観光客が札幌で旭山ではなく、藻岩山に上るのと同じだ。

稲佐山公園WEB

稲佐山は中腹の駐車場からロープウェイではなく、スロープカーに乗る。デザインはあの自動車デザインの頂点、ピニンファリーナのデザインディレクターだったケン・オクヤマだというので、内心ワクワクしていた。料金は往復500円。ロープウェイが1250円なのでかなり安い。

ケン・オクヤマデザインのスロープカー

        木の幹をイメージした白い支柱。木目は明るめに限る

スロープカーの山頂駅から展望台まで徒歩2分ほど。そこから展望台の4階屋上まで登る体力は40代半ば過ぎの夫婦にはすでになく、目の前のエレベーターに頼る。稲佐山の標高は333メートルでどこかのタワーと同じ高さだが、そこから見る夜景は札幌、神戸と何とか3大夜景と称されている。浦上川から長崎港、女神大橋と続く長崎の夜景は閉じた港街ならではの美しさがあった。

持てる機材で懸命に撮影した稲佐山からの夜景。明るいJR 長崎駅の左上にハートが見える

ホテルへ戻って、建物内にあるファミマへ夜食というか晩酌の買い出しに行く。そして霧島温泉で調達した芋焼酎を飲むため、ホテルのルームサービスで氷と、部屋着が見当たらないのでバスローブを頼む。バスローブとコンビニ飯が、今回のカオスな旅を象徴している。その後、バスローブを引き出しの中に見つける。あすはいよいよ軍艦島だ。

ファミマの九州限定パスタ。バスローブを着てコンビニ飯を肴に芋焼酎をあおる長崎の夜

グローバルなビューだけあって、部屋からJRと稲佐山も見える