【2017年3月27日前編】

【ホームズとビートルズ
朝早く宿を出て、歩いて5分のリージェンツ・パークに向かう。一瞬北海道大学の構内かと思わせる英国庭園を眺めながら、アウターサークル、インナーサークルを回り、ベイカー街へ。


シャーロック・ホームズが住んでいる設定になっている221B番地の近くに、ホームズ博物館がある。行列ができていると聞いていたが、それほどでもなくあやうく素通りしそうになるところ、奥さんが発見。
でも時間がないので、中には入らず博物館の外観撮影にとどめる。

続いて地下鉄ジュビリー線でベイカー街からセント・ジョンズ・ウッド駅へ。高級住宅街を抜けると横断歩道に人が集まっている。世界中でも横断歩道に観光客が集まるのはここぐらいだろう。事前に聞いていたが、このアビーロードスタジオ前の歩道には信号がない。アビーロードはバスも通るし、車もバンバン走っているので、観光客はタイミングを見計らって、次々と横断歩道を渡る・・・のではなく、あの有名なアルバム・ジャケットよろしく歩道の真ん中に止まって記念写真を撮る。僕はその様子を撮るだけでよかったが、妻が写真を撮ってくれるというので挑戦することにした。でも車が途切れず断念しかけたところ、僕らが来るより前から横断歩道でまごまごしていた1人の女性に声を掛けられた。1人なので写真を撮ってほしいという。彼女のアイフォンを妻が受け取り、横断歩道の真ん中にいる彼女を、横断歩道でもなんでもない道路の真ん中から妻が写真を撮るという、なかなか危険な作業に取り組んだ。そして撮った写真の出来に満足した彼女は、お返しにと、僕ら2人の横断歩道写真を撮ってくれた。



【テート・モダン】
アビーロードからは地下鉄でブラックフライヤー駅へ。セントポール大聖堂を後ろにミレニアム・ブリッジを歩いてテムズ川を渡り、対岸のテート・モダンに着いた。
テート・モダンは、その名のとおり、近現代美術館。テートは作品の寄贈者の名にちなむ。ボイラーハウスと呼ばれる本館は、電力需要の増大で戦後に建てられた旧バンクサイド発電所をスイスの建築ユニット、ヘルツォーク&ド・ムーロンが改築したものだ。同ユニットの有名な建物といえば、北京オリンピックのメーンスタジアムやプラダ青山店だ。ボイラーハウスがコレクションで手狭になったため、2016年に同ユニットが10階建ての別館、スイッチハウスを建てた。ピカソモンドリアンアンディ・ウォーホール森山大道の作品が展示されているほか、大量のラジオを組み合わせたタワーなど一見芸術なのか、やった者勝ちなのか、分からない作品もあった。スイッチハウスの最上階はカフェスタンドと展望台があり、周囲を見渡すことができる。


鑑賞後、空腹に見舞われ、近くのピザエクスプレスに入る。ただのマルゲリータが10ポンド弱もするのに驚く。英国は外食が驚くほど高い。1ポンド80円ぐらいの計算が丁度良いぐらいだ。その後歩いてサウスワーク橋を渡り、ロンドンブリッジとタワーブリッジを横目に地下鉄キャノンストリート駅からロンドン塔へ。

【ロンドン塔 The tower of London と現代建築】
地下鉄タワーヒル駅前の広場には、日時計と地下鉄(Underground)のモニュメントがあり、通りをはさんでロンドン塔が見える。広場には多くの人がロンドン塔に向かうでもなく、ただ日向ぼっこをしていた。

王族含め多くの人が処刑され、かの夏目漱石も訪れたロンドン塔だが、今回のロンドン滞在期間では、内部をじっくり見学する時間が足りなかった。外観を見るにとどめ、足早にシティへ向かう


目的はロイズ保険組合本社ビルとガーキンだ。この2つの建物は、いずれも建築界のノーベル賞といわれる、プリツカー賞受賞の建築家によって設計され、ロンドンの建築史にとって無視できない存在といえる。ニュースダイジェストに詳しい説明がある。http://www.news-digest.co.uk/news/archive/architecture/4865-contemporary-architecture-high-tech.html

ロイズの本社ビル(インサイド‐アウト・ビル)は、建築家のリチャード・ロジャース卿が設計し、8年の歳月を経て1986年に完成した。ファサードにはステンレスが、エレベーターや配管は外壁に設置され、まるで工場のように見える。
歴史的な建物で構成されるロンドンの中に、異物のようにそびえ立ったその姿は、それ以降、現代建築が次々と生まれた画期的なきっかけとして、2011年に保存を目的とする歴史的建築物のグレード1に指定されている。⇒

テートモダンからも見える、30 St Mary Axe、通称ガーキンは、ピクルス用のキュウリを意味する。2004年に完成したスイス再保険のビルは、ノーマン・フォスター卿の事務所が手がけたもので、今やロンドンの名所の1つとして数えられている。ガラス張りの特異な流線型は風の影響を抑え、太陽光を取り込むパッシブソーラーシステムで環境負荷を低減しているという。1992年にIRAのテロで爆破されたバルチック海運取引所の跡地に建っている。