【2017年3月26日】

【機内で入国カードを書く】
旅行のバイブル「地球の歩き方・ロンドン」(ダイヤモンド・ビッグ社
A03 地球の歩き方 ロンドン 2017~2018
を見ると、後ろの方にイギリスの入国審査や入国カードの書き方が書いてある。緊張の審査は後回しにするとして、機内で渡される入国カード(Landing Card)は、上から姓、名、性別、生年月日(DD(日)MM(月)YYYY(西暦))、国籍などと記入欄があるので、この本を参考に書けば良いと思う。1点迷ったのは、下から3番目にあるPort of last departure.最終出発空港なので、Hong Kong(香港)と書いた。ロンドン留学センターhttps://www.london-ryugaku.com/landing-card/によれば、「搭乗地イギリスに到着する便の出発地を書きます。日本からの直行便であれば日本の出発地、経由便であれば乗り継ぎ便の出発地」とある。

【そして入国審査】
8時間時計を巻き戻して早朝6時前、ロンドンで二番目の規模というガトウィック空港に着陸する。有名なヒースロー空港じゃないのは、チケットが2人分で3万円ほど安かったし、空港そのものにこだわりがなかったからだ。ただヒースローに比べてマイナーなためか、参考になる本やホームページが少なく、情報収集に手間取った。飛行機から出ると、外に見える風景はまるで北海道のようだった。初めて見るヨーロッパの第一印象が、「地元とあまり変わらない」というのは、少し寂しい気もするが。

空港のホールの壁には、エリザベス女王の巨大なモザイクアートがかかっていたので、さすがに英国に来たのだと思う。でも間もなく緊張の入国審査が待っている。英国は審査が厳しいと聞いていたからだ。4日前の22日にウェストミンスターでテロが起きたばかりだから、さらに厳しいのではと不安になる。パスポートと搭乗券、入国カードを手に、EU、UK以外のパスポートの列に並ぶ。4つぐらいあるチェックブースに係官は1人しかいないので、審査に時間がかかる。前の方では中国人観光客が指紋を取られている。その後係官が3人増え、僕らの順番が回ってきた。係官は女性だった。入国目的と滞在日数を伝え、帰りの搭乗予定が書かれた紙を見せたら、”Enjoy your trip”とすんなり通してくれた。短期の日本人旅行者に不法滞在やテロの危険性はないということか。

【ロンドン市内へ】
宿泊先はユーロスターの発着駅になるセント・パンクラス駅の近く。駅直通で安いと宿泊先の管理人が薦めてくれた、ナショナル・レイルの「テムズリンク」に乗る。チケットカウンターで聞くと、1人8ポンドと格安だった。事前に調べていたガトウィックエクスプレスなら安くても1人20ポンドぐらい取られる上、ビクトリア駅から乗り換えは不安だった。ガトウィックエアポート駅のホームは肌寒く、着てきた服がこれで良かったのかと心配になった。テムズリンクに乗り、進行方向右側、テーブル付きの向かい合わせの席に座る。空港からしばらく外を眺めると、どこかで見たような風景が流れる。列車内を見渡すと、乗客がみなスマホを見ている。日本から1万キロ以上離れているはずなのに、この既視感は何なのだろう。でもしばらくたつと、レンガ造りで白い窓枠の年季の入った家々が見えてきた。これは日本にはない景色で、少し外国に来た実感が湧いてくる。

出発から40分ほど、遠くにシティと思われる高層ビル群が見え、左にはロンドンアイが見えた。テムズ川の上にかかるブラックフライヤー駅までくると、明日行く予定のテート・モダンの巨大な建物がそびえていた。程なく終点のセント・パンクラス・インターナショナル駅に到着する。時計塔のある荘厳なこの駅は、ユーロスターの発着駅なだけでなく、となりには英国内を結ぶ列車の起点となるキングス・クロス駅が並ぶ。とはいえ紛らわしいので、どちらかに名前を統一できなかったのかと思う。

キングス・クロス駅といえば、ハリーポッターで有名な9と4分の3番線ホームで、外観はセント・パンクラス駅が使われたそうだ。隣りなのでと、キングス・クロス駅に足を伸ばせば、遠くの方に人だかりが見える。あそこがそうなのだろう。近づくと壁にめり込んだカートと記念撮影に並ぶ人、人、人の列が待っていた。





そこから3泊4日お世話になるゲストハウスへ歩く。アルバニーストリート沿いにあるゲストハウスは、ロンドン市内によくあるジョージア様式の4階建てのテラスハウスで、1820年に建てられたのだという。宿の管理人さんは、20年前に語学留学で英国を訪れ魅了されたそうだ。ツインで予約したのだが、たまたま空いたというので家族部屋を使わせてもらうことになった。サブベッドのある清潔な部屋で、バスルームがとても広い。


大英博物館 The British Museum】
管理人さんのアドバイスで、最寄りのグレートポートランドストリート駅で、Suicaのようなオイスターカードを手に入れた。自動券売機は日本語にも対応していて、クレジットカードで購入できる。バスに乗って、まずは大英博物館へ向かう。バスはオイスターカードでなけれな乗ることができない。大英博物館に着く直前、仕事の相棒から携帯に着信があることがわかる。何か大きな問題が起きたのかもしれないけれど、ワイファイがつながらず連絡が取れない。仕方ないので開き直って、持ち物検査を経て展示室に入る。

ギリシャ、エジプト、インドと大英帝国が世界中からくすねてきた世界の財宝の数々に圧倒される。妻の完璧な予習で一通りのコレクションを見ることができたが、こういう場所は事前の予習が不可欠だ。妻の10分の1の理解度もないまま博物館を後にする。ソーホーを歩いていたらお腹が空いたので、カフェに入り食事休憩。そしてナショナル・ギャラリーへ向かう。





【ナショナル・ギャラリー】
テロ後初の週末を迎えたトラファルガー広場は祭りのように賑やかで、老若男女が明るい日差しを浴びながら、午後のひとときを楽しんでいた。ストリートパフォーマーがプロ顔負けの歌声を披露していたり、空中を浮遊していたり、見ていて飽きない。でも地面に描かれた世界中の国旗と連帯を呼びかけるパフォーマンスは、確実にテロの心理的な爪痕を物語っていた。

ナショナル・ギャラリーでは、紀元前の宗教画から、ミケランジェロボッティチェリ、スーラといった美術の教科書に載っていた絵を鑑賞、というよりも僕は終始写真を撮っていた。大英博物館もナショナル・ギャラリーも、写真撮影が許されている。しかも入場料は無料と、どこぞの国では考えられない大盤振る舞いだ。















その後、歩いてウェストミンスター宮殿へ向かう。そこでは4日前に起きたテロ事件の現場が生々しく、議事堂のフェンスには多くの花が飾られ、メッセージカードが添えられていた。








WE WILL NEVER BE BEATEN!

LONDON STANDS UNITED AND
SHALL NEVER LIVE IN FEAR.

WE ARE ONE CITY, A CITY NEVER
DIVIDED BY ACTS OF HATRED.

UNITED TOGETHER!





再び歩いて、バッキンガム宮殿へ。途中の公園では桜が散り始めていた。バスでゲストハウスに戻ることにしたが、なかなか目当てのバス停にたどり着けない。散々迷った末、乗り換えが不安だったビクトリア駅のこれまたバス停Qから、C2系統のバスに乗る。グレートポートランドストリート駅そばのコンビニ、テスコ・エクスプレスで朝食用のサンドウィッチと水とビールを購入する。大人かどうかは確認されなかった。手頃な価格で味もまずまず。その後テスコは僕らにとって欠かせない存在となる。