【2017年3月25日】

妻の実家から新千歳空港へ車で移動する。空港に近い駐車場は旅行代理店と提携していて、一泊400円と格安だった。国際線ロビーに初めて入り、円をポンドに交換する。でも手数料でかなり引かれてしまった。2017年3月末のレートで、1ポンドは約140円だったが、手数料を入れると160円弱の計算になるのだ。キャセイ・パシフィックのカウンターを見つけて並び、搭乗手続きついでに、係の女性に香港空港の過ごし方について聞く。乗り換え便の出発まで4時間もあるからだ。「手続きを考えたら香港入国はやめておいたほうがいい」とアドバイスを受ける。出入国で時間がかなり取られるという。結局帰りに入国することになるが、この時はもちろん知らない。

パスポートと搭乗券を用意し、手荷物検査を終えた後、いよいよ出国手続に入る。パスポートを一瞥してスタンプを押し、「良い旅を」と係官。緊張もつかの間、拍子抜けするぐらい手続きはあっさりと終了した。その先の制限区域は、免税店が数店あるが、どこも外国人だらけで、すでに異国の雰囲気が醸し出されていた。それでも、これから日本を出るという実感はわかなかった。

午後4時、新千歳空港を飛び立つ。さよなら日本。しかしかなりの間、ビールを飲みながら日本の上空を漂う。そして午後9時過ぎ、香港国際空港に到着した。あっという間だった。日本とは1時間の時差。生まれて初めての外国だが、香港には入国しないという、微妙な海外への一歩だ。

まずは巨大な空港内で迷うことになった。乗り換えには27番ゲート先で手荷物検査が必要なのだが、誰もあらかじめ教えてくれないのだ。案内カウンターで片言の英語で聞き出し、27番ゲートへ向かう。こころなしか蒸した空港内で、免税店や飲食店をぶらりと見て、中華料理の店で僕は肉入り饅頭、妻はエビシュウマイを注文する。本場だし確かにおいしいけれど、この程度の中華料理は日本でも食べられると思った。さらに調子に乗ってマクドナルドで香港限定メニューのハンバーガーを食べる。香港ドルへの両替が面倒で、すべてカードで支払うため、金銭感覚が麻痺する。これは危険だ。


午前1時前、ガトウィック空港行きに乗る。飛行機は去年就航したばかりの最新鋭のエアバスA350だが、意外と新しさは感じない。トイレの床は汚かったし、シートもコンパクト。寝て、映画見て、を繰り返すうちに到着まで残り時間2時間となった。降りる準備をしないといけない。

13時間のフライトは思ったよりあっさり終わりそうだ。多分子どもの頃のフェリー旅行の経験が生きているのだろう。時間も潰せず、船酔いに苦しみながら寝るしかない当時の船旅に比べたら、天国みたいなものだ。一方で、妻は「まだ2時間もあるの!」と落胆している。