cannondale HANDMADE IN USA

キャノンデールというアメリカの自転車メーカーが、かつてあった。

アルミニウム製フレームの先駆者で、“Hand Made in USA”にこだわりを持って、ペンシルベニア州ベッドフォードの工場で面白い自転車を作っていた。

メーカーの説明は、ウィキペディアに詳しいので、それにお任せするとして、マウンテンバイクにリアサスペンションを世界で初めて付けたり、フロントサスペンションをヘッドチューブに内蔵させた「ヘッドショック」とか、前輪左片持ちサスペンションの「レフティ」とか、リアサスペンションの取り付け位置で乗り味(性格)が変わる「ジキル(jekyll)」とか、コストのかかる独自路線を突っ走っていた。

ジキルなんて、スティーブンソンの「ジキル博士とハイド氏」から命名しているという。


僕とキャノンデールとの出会いは高校時代。学校近くの自転車屋で、天井から吊り下げられ展示されている、変わった形の自転車を見て、衝撃を受けたのが初めてだった。

その名は「SUPER V」。エレキギターみたいな名前のマウンテンバイクだけど、その後、97年モデルを手に入れてコツコツ改造したのが、写真のもの。26インチのホイールが標準のマウンテンバイクフレームに、ロードレーサーに使われる27インチホイールとディスクブレーキを組み合わせた「BADBOY」があまりに格好良かったため、再現することに。リアになかったディスクブレーキの台座は、富士の御殿場の「フジアロイ」という会社に送ってアルミ溶接してもらった。安価かつとても親切だった。ママチャリなみに重いし、まだ理想の姿までは遠いけど、新たに何か別の自転車を買う気を起こさせない、僕にとっては完結した自転車だ。


そんなキャノンデール。オフロードバイク部門に乗り出したことで経営が悪化し、2003年に倒産。今はカナダの複合企業「ドレル」の一自転車ブランドとして残っている。かつてアイデンティティであったアメリカ製のハンドメイドはすでになく、独自のヘッドショックも生産終了。

今もキャノンデールはおしゃれかつ高級自転車のイメージで、街中でも見かけるけど、旧キャノンデールのファンにとっては、しようがないけど複雑な気持ちになる。