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大阪府>「君が代条例」初の卒業式…府立高、教諭思い複雑
毎日新聞 2月24日(金)11時46分配信

君が代の起立斉唱を義務付ける大阪府の条例施行後、初めての府立学校の卒業式が24日、府内32の高校で行われた。府教委は先月、全教職員約1万3000人に起立斉唱を求める職務命令を出し、府議会では「同じ職務命令に3回違反すれば分限免職」とする教育基本条例修正案が提案された。「今回は形式的に起立する」「公務員は法令に従うべきだ」。教諭や校長は複雑な感情を抱いて式に臨んだ。府教委によると、この日、起立斉唱しなかった教職員は若干いたという。【田中博子、林由紀子】

【教員たちの反応は】教育基本条例案大阪府・市、修正案決定 不起立免職、教員恐々 「卒業式出られぬ」

 午前10時、大阪市港区の府立港高校で卒業式が始まり、3年生266人が卒業証書を受け取った。君が代斉唱では、出席した教職員全員が起立した。

 この日卒業式を行った高校に対する毎日新聞の取材では、16校が「起立斉唱しなかった教職員はいなかった」と答えた。

 ある府立高校の50代男性教諭は、一度も起立斉唱をしたことがなかったが、悩んだ末に起立することを決めた。君が代と戦争を巡る歴史を学んだ経験から、不起立を貫いてきた。2月初旬の職員会議。校長から起立斉唱するよう命じられたが、「命令で人の心まで奪うことはできない」と反発した。しかし、今回は「担任した生徒の名前を心を込めて読み上げ送り出す」と決めた。「形式的に起立するだけ。他にも自分の思いを表す場はある」

 また、30年以上不起立を繰り返してきた男性教諭は卒業式会場に入らないと決心した。「教師はみんなおかしいと思っている。排他的な空気がまん延し、処分が当たり前になるのは怖い」と語った。

 この日、卒業式を行った高校の校長は今回、職務命令に異論を唱える教諭に「卒業式は生徒が主役。不愉快な思いをさせたくない」と説得した。「時間をかけて話をしてきたので、混乱は起きないと思う」。また、別の校長(55)は「学習指導要領でも起立斉唱は定められており、条例ができたからといって特に変化はない。公務員として法令に従うのは当然で、思想良心の自由とは別問題」と冷ややかな視線を送った。

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参考・朝日新聞2011年5月27日

大阪府橋下徹知事が率いる「大阪維新の会」の府議団が成立をめざす教職員に君が代の起立斉唱を義務化する条例案について、日本弁護士連合会は26日、宇都宮健児会長名で「起立・斉唱を強制することは憲法の思想・良心の自由を侵害する」などと批判する声明を発表した。

 声明は「教育の内容と方法に対する公権力の介入は抑制的であるべきという憲法上の要請に違反するもので看過できない」と主張。橋下氏が強調する「公務員組織の規律の厳格化」については「教職員は(憲法上)『全体の奉仕者』だが、職務の性質と無関係に一律全面的に公務員の憲法上の権利を制限する根拠とならない」と批判。府議会に条例案を可決しないことを求めた。