さよなら黄金湯温泉旅館

みなさんこんにちは。久しぶりなので文体も更新方法も忘れちった。

「私たちはもう手放すから。新しいオーナーがこの建物を取り壊して、新しいのを建てるんだって」
表の看板について問うた僕に、女将と目される女性はさびしそうにこう言った。


黄金湯温泉に初めて行ったのは去年のいつだったか。コンクリート打ち放しのモダンなアイヌ
化交流センターの向かいに、それとは対照的なひなびた湯治場があった。奥に行けば目新しい露天風
呂付きの温泉があるけど、堂々と古ぼけたそのたたずまいに僕は吸い込まれてしまった。
そういや入浴後、脱衣所で湯治客に「若いのに、こんな所へよく入ってきたね」と言われたっけ。


今時露天風呂もないし、硫黄のにおう温泉は加温、循環。でもその場所には確実に明治時代から積み
重なった時間が漂い、誰もがその時間を感じ取ることができる。そう、僕こういう場所が大好きですよ。


でもノスタルジーじゃ飯は食えない。


2007年5月30日、
1883年から124年間歴史を刻み続けた黄金湯最古の温泉旅館は、その幕を閉じる。