村上朝日堂 O2S(OPEN 2 SEATER)フォーラムではないけれど

tranthought2005-11-08


バブル期、銀座では1本7万円するドンペリが毎晩抜かれていたそうです。そんなわけのわからない好景気の中で、自動車メーカーも例外なく浮かれていました。例えば日産はGT-Rを復活させ、マツダはその後の屋台骨を傾かせる原因ともなった、販売網の多チャンネル化に走りました。


マツダに限らずこの時代に造られていた自動車は、今では考えられない程のコストがかけられていましたし、明らかに販売量が見込めない種類の自動車もたくさん登場しました。


前ふり長くて申し訳ないのですが、そのバブル期にスズキという会社が出した、カプチーノというスポーツカーがあります(以下カプチ)。上述分類でいえば後者。社会不適合車とまで言われています。その理由は、軽自動車なのに、2人乗りオープンカーだから。ぱっと見オープンカーに見えないのですが、屋根がアルミ製で3分割されていて、バチンバチンと外すことができます。アルミを多用した豪華な造りで、軽自動車のくせに新車価格150万円以上とマツダのユーノスロードスターと大差ない価格設定でした。まあ、売れるわけないですよね。


1991年10月に発売開始し、1998年8月に生産終了するまで、2万6474台販売されました。この数字が多いか少ないかは、例えばトヨタ・カローラが2004年度に17万3301台で年間販売台数首位に返り咲いたのと比べるとわかると思います。この販売台数ですし、社会の逆風に耐え、長く乗り続けることで価値が出てくる車だと僕は思っています。


で、結局何が言いたいのかというと、このカプチに僕は普段乗っていて、この車に愛着があるということです。もともと車マニアになってもらおうと弟に勧めた車なんですが、マニアになった本人は現在違う車に乗っているので、僕が使わせてもらっています。ボディの剛性が弱く、段差乗り越えたり、マンホールに乗ったりするとギシギシ鳴るし、車高が低すぎるので、よく底をすったり打ったりしてヒヤヒヤしますが、その独特の存在感はこれらの欠点を補ってなお余りあります。駐車場で静かに待ってるカプチを見ると、「よしよし」と自然に顔がほころんだりします。なでたりもします。生産終了から早7年。これからも手放すことなく、大切にしていけたらと思っています。