1つの時代の締めくくりとして

 
 

 新聞の世界は朝日、読売といった全国紙、中日新聞北海道新聞など県域
ごとのブロック紙十勝毎日新聞や苫小牧民報など都市圏ごとの地域紙、そのほ
日本新聞協会非加盟の新聞があり、大体その順に規模が小さく、地域に密着し
ていく。加えて、工業や農業などの分野に特化した業界紙がある。

 
 昨年4月、週刊のとある小さな新聞社に記者として拾ってもらって以来、世の
中の出来事を伝える側から眺めることができた。僕が飛び込んだ会社は、かつて
廃刊した地域紙の復刊運動でできた会社だ。従業員数17人で、記者は10人、
そのうち外へ出て取材する外勤記者は僕を含めて8人しかいない。
地域紙のくくりにすら入らない小さな新聞社だが、若手数人を除けば、旧社の元社
長、○○支社長、○○報道部長といった錚々(そうそう)たるベテラン記者がいて、
取材や記事の書き方を教えてくれた。
 
 行事を取材し、特集で取材し、自分の興味ある分野を取材する。そのうち人間
関係ができ、他紙も記事にしそうなネタを個人的に教えてくれたりするようになる。
取材相手との信頼関係をいかに築くかなんて、この会社に入るまで思いもしなか
った。知名度のなさで、取材を断られたり肩身の狭さを感じたり、悔しい思いもし
たけど、この会社がなければ今の自分はない。感謝しています。

 
 先日、とある地域紙から内定をもらった。この業界に入って1年と少し、実力もあ
るかどうかわからない中で、週刊から日刊へと大きく環境が変わり、正直通用するか
不安だ。そもそも全く知らない地域で知り合いもなく、新しい風を入れるにしたと
ころで向こうの会社も相当な冒険だろう。しかしせっかくもらえたチャンスなのだ
から、自分にできることは何でもしようと思う。そして恩返しができればこれ以上の
ことはない。