魅力的な瑞芳のまち

雨の台北3日目

前回の文章を読んで、九份の印象をほとんど書いていなかったことに気づいた。でも思い返すと、ほぼ夜に到着⇒雨の中えんえんと階段を上る⇒人ごみに紛れる⇒周りは日本人ばかり⇒阿妹茶樓にたどり着けない⇒あきらめて帰る⇒最悪のタクシー事情、などという経過をたどったので、ろくな印象がないのも仕方がない。

まずは靴を探す

台湾3日目の朝も雨。少し早い時間に瑞芳のホテルで目覚めた僕たちは、チェックアウトして瑞芳駅周辺を散策することにした。

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瑞芳のまちかど


きのう、きょうで九份というよりも、瑞芳のまちの魅力に取りつかれていたからだ。まずは奥さんのずぶぬれの靴の代わりを探す。条件は濡れないことと、安いこと、無難なデザインであること。瑞芳の商店街にはいくつか靴屋があるのだけど、履き口に謎のチェックがあしらわれていたりで、なかなか無難な靴がない。そのうち2店目の棚の下で、埃をかぶった目立たない黒いゴム靴を見つけた。女性サイズのゴム長を足首の上でカットしたような靴だ。これ、シンプルで良いんじゃないと、店のおばさんに身振りで伝えたところ、「こんなんでいいのかい」という感じでおばさんは埃をほろって、電卓で300元と示した。換算しても1000円しないので、OKと言ったら、やたらとお菓子をお土産にくれた。ひょっとすると値引きの余地があったのかもしれない。

台湾を実感できる瑞芳美食街

英語も日本語も、もちろん台湾語も一切話すことなく奥さんの靴問題が解決したので、散策を継続する。

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瑞芳市場


靴屋の隣には、立派な市場があった。市民の食事を支えるべく、新鮮な魚介類や野菜が売られている。

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新鮮な食材が並ぶ市場

魚の切り身の隣には、きれいに下処理されたカエルも並び、あらためてここは日本じゃないなあと思う。カエルも美味しそうに見えるから不思議だ。残念ながらここで買っても調理する場がないので、早々に切り上げ瑞芳駅南側にある美食街へ向かう。

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瑞芳の美食街

商店街には各種料理の屋台が並んでいて、歩くだけでも楽しい。何より日本人がいないのがいい。その先に瑞芳美食広場がある。

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地元と観光客の胃袋を満たす瑞芳美食広場

屋根全体を覆う赤い看板を見ると、何となく縁起が良さそうに思える。中はいわゆるフードコートで、チャーハンとか麺とかスープとか餃子とかいろいろな店が入っていた。午前10時ごろだったのでさほど混雑しておらず、客層は、外国人観光客が少々、ほとんどが地元や国内の観光客といった感じだ。

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ようはフードコート

芸能人のサインを壁に張るラーメン屋のように、各店のメニュー板の周りには、台湾の芸能人の写真が飾られていた。入口そばに胡椒餅の店、瑞芳林記福州胡椒餅がある。

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餅を窯の内側に張り付けて焼く瑞芳林記福州胡椒餅

ここでやっと念願だった胡椒餅をいただくも、あせってほうばり、軽くやけどをする。

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念願の胡椒餅

僕がトイレに行っている間、奥さんは隣の席に座った地元のおばあさんが、鼻水をスープの中にたらし、それを気にせず食べるのを目にした。観光地ではなかなか目にすることのないレアな体験だ。美食広場内には、ロンドンのバタシー発電所が描かれたピンクフロイドのアルバム「アニマルズ」を壁に掛けた、こじゃれたコーヒー店もあった。こだわりの強そうな店主が、ビル・エヴァンスのレコードを小音量で流し、場違い感をひときわ醸し出す。

伊東豊雄大橋トリオ

昼食は台北市内に戻ってから、ということで、松山の誠品生活松菸店へ行くことにした。誠品生活のある松山文創園区は、日本統治時代に作られたタバコ工場の跡地を再開発した新しい文化発信地という。誠品生活松菸店は伊東豊雄設計によるもので、豊雄好きには見逃せない場所だ。

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誠品生活松菸店

建物は全面ガラス張りで、コンクリート打ちっぱなしの柱がグリッド状に縦横に配置され、弧を描いていた。とはいえ、中に入ると札幌駅前や渋谷にありそうな新しい商業施設と同様で、特に目新しいものはなく、誠品書店も西門店と似ていた。

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台北二度目の誠品書店

渋谷ヒカリエに初めて入ったときと同様、どうも歳をとると予想の範囲が広く、いちいち驚かなくなっていけない。感動したのは、トイレがきれいで水量が豊富で、トイレットペーパーを流すことが推奨されていることだ。これも新たな文化の発信、ということだろうか。あと誠品生活の滞在中、ずっとBGMが大橋トリオだった。どうでもいいことだけど。

台湾旅行最後のホテルへチェックイン

いよいよ、台北駅南側にある最後の宿、Flip Flop Hostel Gardenへ向かう。昨日、スーツケースを預けていた場所だ。台北駅から徒歩10分ほど。古いビルをリノベーションしたホテルで、やたらとオシャレな感じだ。

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Flip Flop Hostel Garden

入り口左に受付カウンターがあって、ITベンチャーの若社長風な眼鏡をかけたインテリ青年がマックを開いていた。でもその前で別の宿泊客が談笑していて、受け付けまでたどり着けない。タイミングを見計らっていたら、その宿泊客が韓国語で僕に話しかけてきた。分からない、というジェスチャーをすると、Are you Japanese?と聞くので、そうだというと、受け付け前を空けてくれた。僕たちはチェックインした後、部屋に荷物を運び、お土産を買いにいくことにした。あ、そうそう、オシャレなこのホテルもトイレに難ありだった。

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リノベーションはまずトイレの管からお願いします